学会について

第5期理事長 竹中晃二

 本年6月4日の選挙において,第4期に続いて,第5期の理事長に選任された竹中です。学会の目的,組織と運営,年次大会などの詳細については,他のコラムに譲るとして,ここでは本学会にまつわる最近の動きについて少し紹介したいと思います。

 米国心理学会の38部門,健康心理学部門は,人々の健康増進と疾病予防を目指して設立されました。その当時の会長は,WHOからの要請を受け,日本心理学会理事長に対して,アジアの先進国である我が国にその役割を担うように要請がありました。これを契機に,1987年に日本健康心理学会が設立され,健康に関わる心理学の研究が開始され,本年で学会創立30周年を迎えています。2010年7月には,本学会が一般社団法人化され,その後,法人法に従って理事長以下理事が2年ごとの選挙で選任され,現在,第5期目がスタートしたばかりです。

 皆さんは,健康心理学がいまや世界各国で注目を集める存在となっていることをご存知でしょうか。2016年に横浜で開催された世界最大の心理学会議,第31回国際心理学会では,健康心理学の存在感がきわめて大きいことがわかりました。基調講演,招待講演,招待シンポジウムの数は,63ある心理学カテゴリーの中で4番目に位置し,一般申し込みシンポジウム,主題別セッション,口頭発表・ポスター発表を合わせると7番目に位置していました。世界の心理学の潮流は,まさに健康心理学に向かっていることが発表件数から読み取れます。その背景には,国際的な高齢化があり,人々が病気にならない,またたとえ病気を患っているとしても,人生を充実して生きていくために必要なこころの有り様が求められていることがあります。また,現在のライフスタイルの乱れによって生活習慣病罹患者の数が増大し,その行動変容を促す必要性があります。さらには,ストレス社会,メンタルヘルスを脅かす現在社会の中で,こころの安寧をいかに保っていくかも重要な課題となっています。健康心理学は,これらのニーズに答えるべく,研究に求められる基本となる方法論を重要視しながら,時代に合わせてその方法を変えて発展を遂げています。

 最近の日本健康心理学会の活動をいくつか紹介しましょう。先に述べましたが,本学会は今年で30周年を迎えています。本学会の発展は,先達のご努力の賜物ではありますが,時の経過につれてその内容は変化し,進化し続けていくことが求められます。本学会では,設立30周年の記念出版として前期7巻を編み,すでにそのうち3冊は上梓を済ませました。続巻も明治大学で開催される30周年記念大会に合わせて出版できればとおもっています。

 健康心理学における世界の潮流を見ると,医療・保健分野との連携を深めることは必要不可欠です。特に,医療・保健の専門機関と連携をはかり,協働で研究や教育を進める必要性があります。先の4期では,「健康日本21推進全国連絡協議会」や「禁煙推進学術ネットワーク」に加盟し,医療系組織の枠組みの中での貢献を果たしつつあります。今期では,さらに健康心理学の特徴を医療・保健分野に積極的にアピールし,共同研究や,研修会の開催を進めることも考えています。

 諸外国の健康心理学研究者との交流も,徐々に活発化させています。昨年度は,アジア健康心理学会議を我が国で主催するなど,諸外国,特にアジア諸国の研究者とも交流をはかる機会を得ました。今後は,国際共同研究の実施など,国際委員会が中心となって活動を活発化できればと考えています。

 最後に,本学会は研究者だけが会員ではありません。例えば,すでに医療・保健分野で活躍されているコメディカル・スタッフ,メンタルヘルス・サービスのスタッフ,さらには福祉,教育,産業の分野で活動されている方々も多く参加されています。健康心理学は,まさに行動変容やメンタルヘルス介入など実践に活かす知識や体験の宝庫です。本学会では,「健康心理士」という資格を認定し,「健康心理士会」組織を基盤として,「健康心理士」の活動を活発化させようとしています。どうぞ,多くの方々が本学会に興味を示していただき,中身を味わっていただければ幸いです。

(2017.8.3)

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